中山知行 弁護士

静岡県弁護士会所属 富士市

MOORE v. HARPER 2023年6月27日

MOORE v. HARPER

https://www.supremecourt.gov/opinions/22pdf/21-1271_3f14.pdf

MOORE v. HARPER

背景: この事件は、連邦憲法の選挙条項が、州法によって課される制約から自由に、各州の立法府に連邦選挙のルールを設定する権限を付与するかどうかに関するものです。2020年の10年ごとの国勢調査の後、ノースカロライナ州の議会は新しい連邦議会の地図を作成しました。これに対して、複数の原告団体がノースカロライナ州憲法に違反するとして、許されない党派的な選挙区割りを挑戦しました。

主要な判断: 選挙条項は、州立法府に、州法によって課される制約から自由に、連邦選挙に関するルールを設定する独占的かつ独立した権限を付与しない。州立法府が連邦選挙のルールに関して行動するとき、それは通常の州の司法審査の対象となる。

歴史的背景: 選挙条項は、各州の立法府に、連邦選挙の「時、場所、方法」を規定する「義務」を課す。また、連邦議会に、そのような規制を作成または変更する権限も与えている。

裁判所の判断: 連邦憲法の選挙条項は、州立法府が連邦選挙のルールを設定する際に、州法によって課される通常の制約から免除されることはない。しかし、連邦裁判所は、州法の解釈が連邦法を回避しないように、司法審査の義務を放棄してはならない。

背景: 2020年の国勢調査の後、ノースカロライナ州の一般議会は新しい連邦議会の選挙区マップを作成しました。複数の原告グループがこのマップに異議を申し立て、ノースカロライナ州憲法に違反すると主張しました。ノースカロライナ州最高裁判所は、州憲法の下での党派的な選挙区割りの主張が非訴訟事項であるという裁判所の判断を覆しました。

管轄権: 米国最高裁判所は、ノースカロライナ州最高裁判所の判決を審査する管轄権を有すると判断しました。後の意見(Harper II)を撤回し、初の判断(Harper I)を覆す決定は、事件を無効にするものではありませんでした。

選挙条項の解釈: 米国最高裁判所は、選挙条項は州法の制約を受けずに、州議会に連邦選挙のルールを設定する独占的かつ独立した権限を与えないとの立場を取りました。過去の判例を参照して、州議会が連邦選挙のルールを設定する際、それでも州憲法に従わなければならないとの考えを支持しました。

歴史的文脈: 裁判所は、司法審査の慣行が創設時にはすでに確立されていたことを強調しました。州議会が連邦選挙のルールを設定する際、州の司法審査の対象となります。歴史的な慣行は、選挙条項の下で権限を行使する際、州議会が州憲法の制約を受けることを確認しています。

結論: 裁判所は、選挙条項が州法によって課される通常の制約から州議会を免除しない一方で、連邦裁判所は依然として司法審査を行う必要があると結論付けました。州裁判所は、連邦選挙を規制するために州議会に付与された権力を奪取するような方法でその境界を越えることはできません。裁判所はノースカロライナ州最高裁判所の判断を確認しました。

ロバーツ最高裁判所長官が裁判所の意見を提供し、ソカガン、カバナウ、バレット、ジャクソンの裁判官がこれに同意しました。カバナウ裁判官も同意の意見を提出しました。トーマス裁判官は、ゴーサッチ裁判官とアリト裁判官が部分的に参加して異議を唱える意見を提出しました。

Certiorari(サーシオラリ):

定義: Certiorariは、ラテン語の「to be informed」に由来する法的用語で、上級裁判所が下級裁判所から特定の事件の記録を要求するための命令を指します。

目的: この手続きは、上級裁判所が下級裁判所の判決を審査するためのものです。特に、アメリカ合衆国最高裁判所は、サーシオラリの手続きを通じて、審査すべき事件を選択します。

使用: アメリカの連邦司法制度において、最高裁判所は毎年数千件のサーシオラリの請求を受け取りますが、そのうちのごく一部しか受理されません。受理された事件のみが最高裁判所で審理されます。

North Carolinaの文脈でのCertiorari:

「certiorari to the supreme court of north carolina」というフレーズは、ノースカロライナ州の裁判所の判決に関して、アメリカ合衆国最高裁判所が審査を行うためのサーシオラリの請求を指しています。

この手続きは、ノースカロライナ州の裁判所の判決に対して、法的または憲法的な問題が存在すると考えられる場合に、アメリカ合衆国最高裁判所が介入するためのものです。

ノースカロライナ州の裁判所の判決が、連邦法やアメリカ合衆国憲法と矛盾すると考えられる場合、関係者はアメリカ合衆国最高裁判所にサーシオラリを請求することができます。

要するに、このフレーズは、ノースカロライナ州の裁判所の判決に関して、アメリカ合衆国最高裁判所が審査を行う可能性があることを示しています。

 

弁護士中山知行