中山知行 弁護士

静岡県弁護士会所属 富士市

相続人への遺贈登記の単独申請(令和5年4月1日より)

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001388918.pdf


ある相続人に特定の不動産を「相続させる」旨の遺言については、その相続人の単独申請で所有権移転登記をすることができます。最高裁判例及び不登法63条2項

一方、ある相続人に特定の不動産を「遺贈する」遺言の場合には、これまでは、単独では登記できず、遺言執行者または他の共同相続人全員との共同申請が必要でした。

この点が、「相続させる」遺言と遺贈との大きな違いの一つと言われていました。

今年4月1日施行された不動産登記法では、後者の場合でも、遺贈を受けた相続人による単独申請が可能となりました(不登法63条3項)。

ただし、相続人以外の第三者への遺贈の場合には、依然として単独登記はできません

その他にも、「遺贈」とする場合には注意をしなければならない点がいくつかあります。

なお、令和5年4月1日より前に開始した相続により遺贈を受けた相続人(受遺者)についても同様に、令和5年4月1日からは、単独で所有権の移転の登記を申請することができるようになりました。

不動産登記法

第六十三条 第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

 

弁護士中山知行