中山知行 弁護士

静岡県弁護士会所属 富士市

Students for Fair Admissions, Inc. v. President and Fellows of Harvard College 2023年6月29日

Students for Fair Admissions, Inc. v. President and Fellows of Harvard College

https://www.supremecourt.gov/opinions/22pdf/20-1199_l6gn.pdf

STUDENTS FOR FAIR ADMISSIONS, INC. v. PRESIDENT AND FELLOWS OF HARVARD COLLEGE

背景:

ハーバード大学とノースカロライナ大学(UNC)は、毎年数万人の学生が応募し、選ばれるのはごくわずかです。両大学は、学生の成績、推薦状、課外活動などに基づいて入学を決定していますが、学生の人種も考慮されることがあります。この訴訟の主要な問題は、これらの大学の入学制度が、アメリカ合衆国憲法修正第14条の平等保護条項に適合しているかどうかです。
ハーバードでは、入学申込書は初めに「第一審査員」によって審査され、6つのカテゴリー(学業、課外活動、スポーツ、学校のサポート、個人的な特性、全体的な評価)で数値スコアが付けられます。全体的な評価では、審査員は学生の人種を考慮することができます。
UNCも同様の入学選考プロセスを持っています。各申込書は、入学事務局の審査員によって最初に審査され、いくつかのカテゴリーで数値評価が付けられます。審査員は、審査の際に学生の人種を要因として考慮することが求められています。

訴訟:

原告であるStudents for Fair Admissions (SFFA)は、ハーバードとUNCの人種に基づく入学プログラムが、それぞれ1964年の公民権法第VI条および憲法修正第14条の平等保護条項に違反していると主張して訴訟を起こしました。両大学の入学プログラムは、平等保護条項およびこの裁判所の先例に基づいて許容されると判断されました。

結論:

ハーバードとUNCの入学プログラムは、憲法修正第14条の平等保護条項に違反しています。

 

「affirmative action」に関する言及を以下にまとめます:

「Affirmative action」のポリシーは、全体の黒人やヒスパニックの学生数を増やすものではなく、高等教育機関間で個人を再分配するものであると述べられています。これらのポリシーにより、一部の黒人やヒスパニックの学生が、他の学生と比べて学業的に成功する可能性が低い環境に分類されることがあると指摘されています。[ページ: 87, 88]

Affirmative actionは、我々の国の人種関係の改善を促進するどころか、人種の違いを強調し、有害な影響をもたらすとの意見が示されています。[ページ: 93]

1978年に、5人の裁判官は、高等教育における人種に基づくaffirmative actionが、憲法修正第14条の平等保護条項や公民権法第VI条に違反しないとの判断を下しました。ただし、大学が入学決定で人種を要因としてのみ使用し、クォータを採用しない限り、という条件付きでした。[ページ: 133]

Affirmative actionのケースは、過去の差別の被害者に補償を提供するため、多様性を促進するため、統合を促進し、 perceived racial castesを破壊するため、および長期的かつ拡散的な人種偏見に対抗するためのいくつかの根拠に重点を置いてきました。[ページ: 77]

Affirmative actionや「公平性」プログラムとして包装された人種に基づく差別は、差別が人種的少数派を助けるのか傷つけるのかを判断することができるという考えに基づいているとの意見が示されています。[ページ: 80]

Affirmative actionは、高等教育の分野での人種差別と同等であり、黒人やラティーノの学生に「劣等感のバッジ」を押し付けるとの意見が示されています。[ページ: 196]

これらの情報を基に、判決はaffirmative actionを憲法違反としています。この判決は、過去のaffirmative actionに関する裁判所の判断とは異なる方向を示していると言えます。

 

弁護士中山知行