中山知行 弁護士

静岡県弁護士会所属 富士市

親子法制の改正

親子法制
(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
(子の人格の尊重等)
第八百二十一条 親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
3 第一項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。
4 前三項の規定により父が定められた子について、第七百七十四条の規定によりその父の嫡出であることが否認された場合における前項の規定の適用については、同項中「直近の婚姻」とあるのは、「直近の婚姻(第七百七十四条の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)」とする。
第七百三十三条 削除 再婚禁止期間
(嫡出の否認)
第七百七十四条 第七百七十二条の規定により子の父が定められる場合において、父又は子は、子が嫡出であることを否認することができる。
 前項の規定による子の否認権は、親権を行う母、親権を行う養親又は未成年後見人が、子のために行使することができる。
 第一項に規定する場合において、母は、子が嫡出であることを否認することができる。ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
 第七百七十二条第三項の規定により子の父が定められる場合において、子の懐胎の時から出生の時までの間に母と婚姻していた者であって、子の父以外のもの(以下「前夫」という。)は、子が嫡出であることを否認することができる。ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
 前項の規定による否認権を行使し、第七百七十二条第四項の規定により読み替えられた同条第三項の規定により新たに子の父と定められた者は、第一項の規定にかかわらず、子が自らの嫡出であることを否認することができない。
(嫡出否認の訴え)
第七百七十五条 次の各号に掲げる否認権は、それぞれ当該各号に定める者に対する嫡出否認の訴えによって行う。
 父の否認権 子又は親権を行う母
 子の否認権 父
 母の否認権 父
 前夫の否認権 父及び子又は親権を行う母
 前項第一号又は第四号に掲げる否認権を親権を行う母に対し行使しようとする場合において、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
(嫡出の承認)
第七百七十六条 父又は母は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、それぞれその否認権を失う。
(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第七百七十七条 次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、それぞれ当該各号に定める時から三年以内に提起しなければならない。
 父の否認権 父が子の出生を知った時
 子の否認権 その出生の時
 母の否認権 子の出生の時
 前夫の否認権 前夫が子の出生を知った時
第七百七十八条 第七百七十二条第三項の規定により父が定められた子について第七百七十四条の規定により嫡出であることが否認されたときは、次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、前条の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める時から一年以内に提起しなければならない。
 第七百七十二条第四項の規定により読み替えられた同条第三項の規定により新たに子の父と定められた者の否認権 新たに子の父と定められた者が当該子に係る嫡出否認の裁判が確定したことを知った時
 子の否認権 子が前号の裁判が確定したことを知った時
 母の否認権 母が第一号の裁判が確定したことを知った時
 前夫の否認権 前夫が第一号の裁判が確定したことを知った時
第七百七十八条の二 第七百七十七条(第二号に係る部分に限る。)又は前条(第二号に係る部分に限る。)の期間の満了前六箇月以内の間に親権を行う母、親権を行う養親及び未成年後見人がないときは、子は、母若しくは養親の親権停止の期間が満了し、親権喪失若しくは親権停止の審判の取消しの審判が確定し、若しくは親権が回復された時、新たに養子縁組が成立した時又は未成年後見人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、嫡出否認の訴えを提起することができる。
 子は、その父と継続して同居した期間(当該期間が二以上あるときは、そのうち最も長い期間)が三年を下回るときは、第七百七十七条(第二号に係る部分に限る。)及び前条(第二号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、二十一歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができる。ただし、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときは、この限りでない。
 第七百七十四条第二項の規定は、前項の場合には、適用しない。
 第七百七十七条(第四号に係る部分に限る。)及び前条(第四号に係る部分に限る。)に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、子が成年に達した後は、提起することができない。
(子の監護に要した費用の償還の制限)
第七百七十八条の三 第七百七十四条の規定により嫡出であることが否認された場合であっても、子は、父であった者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。
(相続の開始後に新たに子と推定された者の価額の支払請求権)
第七百七十八条の四 相続の開始後、第七百七十四条の規定により否認権が行使され、第七百七十二条第四項の規定により読み替えられた同条第三項の規定により新たに被相続人がその父と定められた者が相続人として遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときは、当該相続人の遺産分割の請求は、価額のみによる支払の請求により行うものとする。
(認知の無効の訴え)
第七百八十六条 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時(第七百八十三条第一項の規定による認知がされた場合にあっては、子の出生の時)から七年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、第三号に掲げる者について、その認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
 子又はその法定代理人 子又はその法定代理人が認知を知った時
 認知をした者 認知の時
 子の母 子の母が認知を知った時
 子は、その子を認知した者と認知後に継続して同居した期間(当該期間が二以上あるときは、そのうち最も長い期間)が三年を下回るときは、前項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、二十一歳に達するまでの間、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、子による認知の無効の主張が認知をした者による養育の状況に照らして認知をした者の利益を著しく害するときは、この限りでない。
 前項の規定は、同項に規定する子の法定代理人が第一項の認知の無効の訴えを提起する場合には、適用しない。
 第一項及び第二項の規定により認知が無効とされた場合であっても、子は、認知をした者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。
新生殖医療補助法
(他人の精子を用いる生殖補助医療により出生した子についての嫡出否認の特則)
第10条 妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子(その精子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫、子又は妻は、民法第七百七十四条第一項及び第三項の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができない。
人事訴訟法
(嫡出否認の訴えの当事者等)
第四十一条 父が子の出生前に死亡したとき又は民法第七百七十七条(第一号に係る部分に限る。)若しくは第七百七十八条(第一号に係る部分に限る。)に定める期間内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡したときは、その子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族は、父の死亡の日から一年以内に限り、嫡出否認の訴えを提起することができる。
2 父が嫡出否認の訴えを提起した後に死亡した場合には、前項の規定により嫡出否認の訴えを提起することができる者は、父の死亡の日から六月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第百二十四条第一項後段の規定は、適用しない。
3 民法第七百七十四条第四項に規定する前夫は、同法第七百七十五条第一項(第四号に係る部分に限る。)の規定により嫡出否認の訴えを提起する場合において、子の懐胎の時から出生の時までの間に、当該前夫との婚姻の解消又は取消しの後に母と婚姻していた者(父を除く。)がいるときは、その嫡出否認の訴えに併合してそれらの者を被告とする嫡出否認の訴えを提起しなければならない。
4 前項の規定により併合して提起された嫡出否認の訴えの弁論及び裁判は、それぞれ分離しないでしなければならない。
(嫡出否認の判決の通知)
第四十二条 裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子について嫡出否認の判決が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(訴訟記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該判決の内容を通知するものとする。
(認知の無効の訴えの当事者等)
第四十三条 第四十一条第一項及び第二項の規定は、民法第七百八十六条に規定する認知の無効の訴えについて準用する。この場合において、第四十一条第一項及び第二項中「父」とあるのは「認知をした者」と、同条第一項中「第七百七十七条(第一号に係る部分に限る。)若しくは第七百七十八条(第一号」とあるのは「第七百八十六条第一項(第二号」と読み替えるものとする。
2 子が民法第七百八十六条第一項(第一号に係る部分に限る。)に定める期間内に認知の無効の訴えを提起しないで死亡したときは、子の直系卑属又はその法定代理人は、認知の無効の訴えを提起することができる。この場合においては、子の死亡の日から一年以内にその訴えを提起しなければならない。
3 子が民法第七百八十六条第一項(第一号に係る部分に限る。)に定める期間内に認知の無効の訴えを提起した後に死亡した場合には、前項の規定により認知の無効の訴えを提起することができる者は、子の死亡の日から六月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第百二十四条第一項後段の規定は、適用しない。